「心配ない」と「大丈夫」には条件がついている

条件つきの安全なので、油断せずに必要な情報をウォッチしましょう

「いったい、私たちのまわりの放射線の量はどうなってるのかしら?」と、お母さんたちの心配はつきないと思います。

放射線防護学の専門家の立場として「今は、ひとまず大丈夫ですよ」といっても、残念ながら、簡単には納得してもらえない疑心暗鬼の状態が続いています。それは、福島第一原子力発電所の事故直後からの、国をはじめ関係各所の安易な「安全」発言や、不誠実なかたちでの情報提供の仕方が、すっかり国民の心を不安に駆り立ててしまったからだと思います。

空間放射線の測定値(とくに降雨後)などの推移から分析すると、現在(2011年6月下旬)は、大気中に大量の放射性物質は漂っていないと考えられます。

当初、ほうれんそうなどの葉物野菜や原乳、東京・金町浄水場などから暫定規制値を超えたレベルの放射性物質が検出され、ずいぶんと動揺があったと思います。これらは、3月中旬の福島第一原発の水素爆発によって一気に、大量に、流出してしまった放射性物質の影響でおこったことです。それ以降、大量の放射性物質の流出につながるような事態はおこっていません。今後も新たな爆発などがない限り、さらに汚染のレベルが深刻化するということはないと考えられます。

ただし、今回流出した放射性物質のうち、半減期の長いものの土壌や海への影響については、これから現れてくるため、注意深く監視していく必要があります。問題になるのは、土壌についてはセシウム134、137、海洋については放射性セシウムとストロンチウム90です。これらは、数十年にわたって警戒しなければならないでしょう。

出典:野口 邦和(のぐち くにかず)

1952年生まれ、東京教育大学大学院理学研究科修士課程修了。現在、日本大学歯学部専任講師。専攻は放射化学・放射線防護学・環境放射線学。理学博士。日本科学者会議エネルギー・原子力問題研究委員長。原子力問題情報センター常任理事。

本文イラスト:アタフタグラフィックス・うかいえいこ

記事提供:法研

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