かぜ症候群

Part1全身の病気編 ■熱が主症状の病気

かぜ症候群

赤ちゃんや子どもの病気で、最もよく見られるのがかぜ。
たくさんの種類のウイルスや細菌などに感染することで起きる病気で、鼻水やのどの痛み、せきのほか、発熱、頭痛といった全身症状が見られます。
こじれると気管支炎や肺炎などを引き起こすので、軽く考えずに安静と休養を心がけ、早く治してあげましょう。

どんな病気?

いろいろな病気の中で、私たちにいちばん身近なのがかぜ。赤ちゃんが熱を出して病院にかかるケースの80%はかぜだといわれています。かぜの原因は、ほとんどがウイルスによるもの。かぜの原因となるウイルスの数は200種類以上ともいわれています。
代表的なのが冬に猛威をふるうインフルエンザウイルス。このほか、パラインフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルスなど。ウイルスの性質によって、秋から冬にかけてはやるもの、夏にはやるものなどさまざまです。
せきやゼロゼロを伴うもの、嘔吐や下痢を引き起こすものなど、ウイルスの種類によってかぜの症状も違いますし、ウイルスが体のどこにくっついたかによっても症状が違います。これらウイルスは、「飛沫感染」といってくしゃみやせきで唾液が飛び散ったときに人から人へうつるため、冬は人込みに連れ出さないといった予防も大切です。

くしゃみ、鼻水、せきが典型的なかぜの始まり

かぜのウイルスは、ほとんどの場合、鼻やのどの粘膜から侵入します。感染によってそこに炎症反応が起こり、鼻水・鼻詰まり、のどの充血や痛み、せきが出る、たんがからむなどの症状が出ます。全身反応として発熱、頭痛や関節痛、だるい、などの症状が見られ、吐きけや嘔吐、下痢、腹痛、気持ちが悪いなど胃腸症状を伴うことも。
乳幼児の場合は高い熱が出て、呼吸や脈拍が速くなる、鼻が詰まってミルクが飲みづらい、たんがからんでゼロゼロしやすいなどの症状もよく見られます。また、一般的に高熱が出てのどが痛い、微熱と鼻水が続くなど、いくつかの症状を伴うことが多いものです。
かぜ症候群とは、こうした症状をひっくるめた言い方。炎症の部位によっては鼻炎、咽頭炎、気管支炎、上気道炎などと呼ばれます。

高熱やはげしいせきなどの全身症状が強くなってきているとき、体にはウイルスをやっつけるための抗体ができ始め、ウイルスとの闘いが始まります。ふつうのかぜであれば、これらの症状でつらい思いをするのはかかり始めの2~3日。鼻水やせきは熱が下がったあともしばらく続くことはありますが、多くの場合、症状は自然に少しずつ軽快し、1週間ほどで治ります。また、かぜの典型的な症状が出る1日半~3日ほど前にすでにウイルスが体の中に入っています。症状が出るまでを潜伏期といい、このときにはもうほかの人にうつります。
赤ちゃんは言葉でつらさや症状を訴えることができませんが、元気がない、食欲が低下する、機嫌が悪くなってぐずるなどのサインを出すので、見のがさないようにしてあげましょう。

発疹・目やにが出ることも

ちょっと意外ですが、かぜのウイルスが原因で発疹が出ることも。夏に流行するかぜに多く、熱や鼻水が出たあとに、風疹のようなこまかくて赤いポツポツが出ます。これはかぜによる発疹、またはウイルス性発疹症と呼ばれるもので、この発疹に対しては特別な治療は必要ありません。かぜのケアをしていれば、2~3日で自然に消えていきます。また、咽頭結膜熱(プール熱)に代表される夏かぜウイルスなどが原因でウイルス性の結膜炎を起こし、目が赤くなったり目やにが出ることもあります。

かぜは自然に治るから、ほうっておいて平気?

かぜ症状を引き起こしているウイルスに対する抗体ができ、そのウイルスをやっつければ、ほうっておいてもかぜは治ります。また、この抗体は一生体に残るので、同じウイルスには二度と感染することはありませんが、その免疫は残念ながらほかの数百種類のウイルスには通用しません。人は何度も同じようなかぜをひきますが、原因となるウイルスはいつも違うのです。
ただし、ほうっておいても自然に治るからといって、かぜ症状をそのまま放置していいというわけではありません。いつまでもかぜが治らない状態を「かぜをこじらせた」といいますが、かぜで抵抗力が低下している体に細菌が入ってくると、肺炎や急性中耳炎、気管支炎、化膿性扁桃炎などの合併症を引き起こしてしまって、完治までに1カ月以上かかることも少なくありません。比較的元気でも、症状がすっきりおさまらないときには再度受診して、原因をきちんと確かめてもらうことが大切です。

ケアは?

細菌を殺す薬(抗生物質)はありますが、かぜのウイルスを殺す薬はまだ一般的ではありません。かぜに絶対の特効薬はないのです。ですから、かぜの治療の基本は、かぜの症状を軽くすることと、かぜがこじれるのを防ぐことが大きな2本の柱になります。
まず大切なのは、安静と休養を心がけ、体の自然治癒力をそこなわないようにすること。食欲に応じて消化のいい食事をとり、十分に体を休めましょう。
症状がひどい場合は薬も処方されますが、これらはそれぞれの症状をやわらげるためのもので、いわゆる「対症療法」。主なものに熱を下げる解熱剤、せきをしずめる鎮咳剤、たんをとかす去痰剤、呼吸を楽にするための気管支拡張剤などがあります。また、肺炎や中耳炎などの合併症の心配がある場合は、予防的に抗生物質が処方されることもあります。
いずれにせよ、医師はその子の症状や程度に合わせて薬を選びます。医師に十分に説明を聞き、目的や使い方をきちんと理解したうえで赤ちゃんに飲ませてあげましょう。

小児科の解熱剤は作用がおだやか

人の体は、熱を出すことによって体内に侵入してきた細菌やウイルスを殺そうとします。つまり、発熱は体の防御反応。ですからむやみに熱を下げるのはよくないという意見もありますが、熱が出ると体力を消耗してしまいますし、赤ちゃんがぐったりしたり苦しそうなときには解熱剤を使用してもかまいません。
小児科で出される解熱剤は、アセトアミノフェン、イブプロフェンといった効きめのおだやかな薬。かぜを治すためではなく、苦痛をやわらげるために使用します。
解熱剤を使う体温の一応の目安は、2~3才までなら38・5度、4~5才以上なら38度くらい。ただし、熱性けいれんを起こしたことがあるなど、熱がそれほど高くなくても解熱剤を使ったほうがよい赤ちゃんもいますので、医師の指示に従ってください。

かぜで病院に行くときには

くしゃみや鼻水、せきなどのかぜ症状はあるけれど、熱はなく、食欲もあって機嫌がいいときには、そのまま家庭でケアしながら様子を見ましょう。夜、急に熱が出たときには、熱が38度以上あっても顔色がよく、よく眠っているようなら、翌朝まで様子を見てもよいでしょう。
熱が38度以上あり、機嫌が悪くて食欲がない、下痢や嘔吐がある、せきや鼻水が出ていて苦しそうな場合は、なるべく早く受診します。また、下痢や嘔吐があり、ぐったりして元気がない場合には、熱がなくても急いで受診すること。
2才までの子どもは、体の抵抗力が弱いため、かぜがひどくなりやすく、肺炎や気管支炎、急性中耳炎といった合併症を起こすことが多いため、注意が必要です。特に、免疫機能のでき上がっていない低月齢の赤ちゃんの場合、高熱を伴っていなくて、単なる鼻かぜかなと思っても、早めに診察を受けましょう。
病院にかかるときには、「いつから」「どんな症状が出て」「どうなったのか」を整理して医師に伝えましょう。症状などは簡単なメモをつけておくと便利。3~5時間ごとに熱をはかり、全身状態や気がついたことなど、経過を時刻とともに記録しておくとよいでしょう。

家庭でのケアの基本は5つ

かぜをこじらせないためには、家庭でのケアがとても大切です。

1)家の中で静かに過ごす

かぜをひいたら、安静がいちばんの薬です。少し元気になって自分で遊び始めるようなら無理に寝かしつける必要はありませんが、外遊びは控え、室内で静かに過ごす工夫を。

2)おふろはおあずけ

おふろは体力を消耗するので、くしゃみや鼻水などかぜの初期症状があるときや、熱があるときにはベテランのお母さん以外は控えたほうがベター。お湯でかたくしぼったタオルで全身をふいてあげるとサッパリします。熱のピークが過ぎて元気になってきたら、シャワーから再開して。

3)水分はこまめに補給

熱が出たら、気をつけなくてはいけないのが脱水症状です。乳児用のイオン飲料や白湯などでこまめに水分補給を。

4)あたためすぎない

寒けがする熱の出始めにはあたためますが、熱が上がって暑がるときには、1枚脱がせて熱を逃がしましょう。また、汗をかいたらこまめに着がえを。

5)換気・湿度に注意

室内はこまめな換気を心がけ、特に冬のかぜは加湿器を使ったりぬれタオルをかけて湿度を50~60%に。

読者の体験

まだ4カ月なのにかぜをひくなんて

麻衣ちゃん(当時4カ月)・真澄ママ1日目 体温37・1度。せきと鼻水が出て熱っぽく機嫌も悪いので様子を見る
2日目 前日にひき続き機嫌が悪い。熱はいったん平熱まで下がったが、夜中急に泣き始めたと思ったら39度。救急病院へ行き、解熱剤と下痢止めをもらう。
3日目 主治医の診察を受け、解熱剤とのどの炎症を治す薬をもらう。体温38・9度。
4日目 熱も37・4度まで下がり、食欲も出てきて元気になってきた。顔に発疹ができ、皮膚科でステロイド剤をもらう。
5日目 体温36・4度。いつもの元気を取り戻して、ホッ。

ママからのコメント
最初は37・1度ぐらいの発熱でそれほど心配ないと思っていたのに、急に39度まで熱が上がるなんて驚きました

FromDoctor 6カ月未満の赤ちゃんの場合39度以上の発熱はすぐ病院へ

4カ月ぐらいまでの赤ちゃんは、お母さんからもらった免疫があるため病気にかかりにくいのですが、もし、39度以上もの熱が出るようなら敗血症や髄膜炎の心配が。救急病院も小児科があるところを受診すると安心です。顔の湿疹は、入浴できなかったせいかもしれませんね。

下痢とせきがおさまらなくて、体重が減ってしまいました

誠也くん(当時8カ月)・由美ママ
1日目 朝起きたとき、目のまわりが薄い赤紫色になっているのに気づき、びっくり。元気だったのでそのままにしていたけれど、昼寝から起きたところをだっこしてみると体が重くて熱い!熱をはかると38・5度。あわてて冷却シートをはり、水分補給を心がける。とてもしんどそうなので、夕方病院へ。2~3日様子を見て、発疹が出なければかぜでしょうと言われ、解熱剤の座薬と抗生物質のシロップをもらう。夜、嘔吐。
2日目 食欲は全くないが、ミルクやイオン飲料は飲んでくれる。熱は38・5~39度と高く、ぐったりしている。冷却シートのほか、小さめの保冷剤でわきの下を冷やす。せきも少し出てきて、下痢ぎみ。
4日目 熱が37度台で落ち着いてくる。病院に行くと「発疹が出ていないので、かぜ」という診断。下痢が止まらないので、整腸剤をもらう。食欲はないけれど、少しずつ元気回復。
6日目 熱は下がったが、下痢とせきがおさまらず、ひどくなる一方。
15日目 やっと完治!

ママからのコメント
今回のかぜで、9600gあった体重が2週間後には9000gに減ってしまい、すごく心配でした。

FromDoctor 赤ちゃんの場合、体重が急激に減るのは要注意です

赤ちゃんにとって、熱を出すのは重労働。誠也くんの場合、かぜがきっかけで600gも体重が減ってしまって心配だったと思いますが、2週間近くかけてゆっくり落ちたわけですから、まず問題ありません。体調がよくなれば、すぐに元に戻りますよ。急激に体重が落ちたときには脱水症状が疑われるので、すぐ病院へ。

COLUMN かぜをこじらせるとどんな症状が出るの?

●発熱

乳幼児のかぜの発熱は、ふつう熱が出始めてから3日以内に下がるもの。3日たっても熱が続くようであれば、扁桃腺炎や膀胱炎など細菌感染による病気か、かぜをこじらせてしまった可能性があります。一度小児科を受診して、検査や別の治療が必要かどうかを確認しましょう。また、6カ月未満の赤ちゃんの発熱は、熱の高さにかかわらず急いで病院へ。

●鼻水・鼻詰まり

急に鼻水が出てきて止まらなくなったり、鼻が詰まって苦しくなったりするのは、かぜ特有の症状。かぜの鼻水は、初めは透明でやや粘りけがあり、2日目 くらいには黄色くなってきて、3~4日で止まるのがふつうです。鼻詰まりがひどかったり、うみのような黄緑色の鼻水がなかなか止まらない場合は、かぜをこじらせて急性副鼻腔炎を併発している可能性があります。

●せき

「コンコン」というたんのからまない乾いたせきが、かぜのせきの特徴。かぜのウイルスが鼻やのどにつくと粘膜が炎症を起こし、息苦しくなって反射的にせきが出ますが、せきの刺激によって粘膜が傷つくため、さらに続けてせきが出るのです。
また、「ケーンケーン」と、犬の遠吠えのようにかすれた、苦しそうなせきが出ることもあります。これは喉頭(気管の入り口)に炎症があるときのせきで、急性喉頭炎を起こしているときのせきの特徴です。
かぜのせきはふつう4日ほどでおさまりますが、1週間以上たっても止まらないときや、たんを伴った「ゴホゴホ」という湿ったせきが出たり、黄色いたんが出るのは、かぜがこじれた状態です。

●のどの痛み

赤ちゃんの場合、自分で「のどが痛い」と訴えることができませんから、医師はのどの様子を見ることでかぜを診断します。かぜのときののどは、ウイルスが付着して炎症を起こし、赤くなっている状態。かぜによるのどの赤みは1週間以上続きますが、痛みはふつう3日くらいでおさまることが多いようです。
のどに白いうみがついて化膿しているときは、細菌感染してかぜがこじれた状態。扁桃炎、水疱やカイヨウがあるときには手足口病やヘルパンギーナなどが疑われます。手足口病、ヘルパンギーナは夏にかかりやすいかぜのひとつです。

●嘔吐・下痢

かぜで吐いたり下痢をするのは、ウイルスが胃や腸について炎症を起こすためです。赤ちゃんはちょっとした刺激で吐いたり下痢をしたりしやすいものですが、かぜによる嘔吐や下痢は1回ですむことはなく、何回か立て続けに吐いたり、吐きけが止まらない、食欲が減る、顔色が悪いといった特徴があります。また、嘔吐だけの場合もあれば、下痢を伴うときもあります。特にひどい下痢症状を起こすのが、ロタウイルスによる乳幼児嘔吐下痢症です。
かぜの下痢は1~2日がピーク。3日ぐらいから少しずつ回復し、5日ぐらいで止まるのがふつうです。

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