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海外の予防接種事情

 現代では、日本から海外へ、また海外から日本へという人の移動は当たり前の世の中となり、子どもを連れて海外で暮らしたり、海外に旅行に出かけたりするときには、滞在先の伝染病事情なども気になることと思います。

 出かける地域によっては、子どもだけでなく、大人にも予防接種が必要な場合もありますが、ここでは乳幼児に対する予防接種について、海外での状況について、簡単にご紹介させていただきます。
(参考:『子どものための予防接種―各国の状況―2001年版』/企画・編集 財団法人 母子衛生研究会)

 ワクチンによって予防する疾患は多数ありますが、WHO(世界保健機関)では世界的規模で「予防接種拡大計画;EPI」として、特にBCG・DPT・麻疹・ポリオを優先的に行うようすすめています。

 結核を除いて、これらのEPI対象疾患は世界的規模で急速に減少しつつあるようですが、この減少は予防接種の普及の成果であり、病原体が消失したわけではありません。

 海外へ出かけるときにはもちろんですが、国内にない病気であっても、海外からの渡航者、帰国者が持ち込む恐れもありますので、これらの予防接種は、とても大切なものといえます。

 特に勧奨接種のものは、なるべくスケジュールどおり実施するよう、心がけましょう。

 先進国あるいは途上国を問わず、外国での予防接種には、日本と違ういくつかの特徴があるようですので、その例をいくつか以下に挙げてみます。


1) 同じ日に2種類以上のワクチンを接種する

→ 例えば「DPTとポリオとB型肝炎を同時に接種する」などで、医学的にはまったく問題がないそうです。
  子どもと親の負担を少なくするために、免疫の上昇や副作用の発生などに問題のない範囲で、できるだけ多数のワクチンを混合して受診回数とワクチンの接種回数を少なくし、ワクチン接種を徹底するためとのことです。

 日本方式でひとつひとつ接種していくと、それぞれの免疫をつけるのに時間がかかるため、特に途上国などでは感染の防止に間に合わないという事情もあるようです。

 ※ 日本では、B型肝炎ワクチンは勧奨接種に含まれませんが、WHOでは第7番目のEPIワクチンとしてとらえており、WHOの勧告に従って出生した新生児すべてに接種するという国が増えています。
2) 接種部位、接種方法が異なる場合がある

→ 例えばBCGの管針法(経皮接種)は日本独得のもので、海外では皮下注射が原則だそうです。BCG接種前にあらかじめツベルクリン反応を行うということも、海外ではほとんどなされていない他、海外ではBCGを接種しない国も多いようです。

  また、乳児では大腿前部の大腿四頭筋(ふとももの前面)に注射することが多いそうです。
3) 予防接種の前に体温測定しないことが多い(予診表がないことも多い)

→ なるべく多くの子どもたちに必要な予防接種を機会を逃さずに行う、という考え方から、対象外になる条件をできるだけ少なくしようというのが諸外国の予防接種に関する基本的な考え方だからだそうです。

 日本では体温が37.5度以上あるときは予防接種を受けられませんが、諸外国では発熱(38度以上を発熱としてい ます)や風邪などの急性の軽い病気は、予防接種を避ける理由とはなっていません(発熱や軽症疾患によって副反応発生の危険性が高くなることはない、と明記されているそうです)。
4) 接種時期や回数が異なる場合がある

→ BCG、ポリオ、DPTなどの開始年齢は日本より早いところがほとんどのようです。
 BCGは出生時に1回、または1回も行なわないというのが通例のようです(ツベルクリン反応については前述のとおり)。

 ポリオとDPTは、生後2カ月頃よりそれぞれ3〜4回行ないます。

 ポリオは3回以上の接種回数を採用している国が圧倒的に多く、日本の2回方式は例外だそうです
5) 受けるワクチンの種類が違う

→ 日本で3歳からの勧奨接種となっている日本脳炎ワクチンは、海外からみると特殊なワクチンです。

  しかし、日本特有の疾患ではなく、アジアの一部でも現在も発症があり、中国・韓国・タイでは実用化、べトナムでも導入中とのことです(日本では毎年10〜30人程度の発症が報告されています)。

  1) の「同じ日に複数のワクチンを接種する」にも共通しますが、海外では麻疹・風疹・おたふくかぜはMMRとして同時接種しています。
 
  日本でも以前はMMRワクチンが実施されていましたが、副反応が多いとのことから行なわれなくなり(日本のワクチンと現在海外で行なわれているMMRワクチンとは製造株が異なり、海外のワクチンでは副反応はあまり心配ないそうです)、それぞれが単独接種、うちおたふくかぜは任意の接種となっています。

 いずれにしても乳幼児のお子さんをお持ちの親御さんにとっては、予防接種スケジュールは本当に悩みの種!!

 複数のワクチンを同じ日に接種しても、本当に何も心配がないのでしたら、日本でも導入してほしいなあ、と思ったりしています。ちょっと怖い気もしますけどね。


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