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小児科医編 第九回
はやしクリニック 林 泉彦 先生
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●インフルエンザの予防接種、受けておけば
感染しても重篤な状態になるのは防げます
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| 病児保育室も楽しい飾り付けがいっぱい |
この季節、おかあさんたちが一番心配するのはインフルエンザの問題でしょう。
インフルエンザは冬に流行する風邪で、その年に流行するウイルスによって症状の重さは多少異なりますが、39℃前後の高熱、鼻水、せき、のどの痛み、関節の痛み、全身のだるさや嘔吐、下痢などの症状があらわれます。原因となるインフルエンザウイルスはA、Bの2種類ですが、流行するたびにウイルスの型が変異していくので、予防接種をしても完全に感染を防ぐことは不可能。そこで、インフルエンザの予防接種は受けるべきかどうか、という議論が生まれるのです。
インフルエンザは以前はすべての人が行う予防接種のひとつでしたが、任意接種(公費負担ではなく、自費で受けたい人だけが受ける予防接種)になり、接種率が落ちました。そしてその結果、インフルエンザにかかり重症になる子どもが増えてしまったんです。それで最近になって予防接種の接種率が高まっています。ただし先ほどもお話したように、インフルエンザの予防接種は受けたからといって必ず感染を予防できるわけではありませんが、「効果がない」予防接種というわけでもないんです。かかってしまうときはかかってしまうけれど、かかっても重篤にならないメリットがあります。
ご存知のようにインフルエンザは抵抗力の弱い赤ちゃんやお年寄りがかかると、気管支炎や肺炎などを引き起こして命に関わることもありますし、まれですが脳炎を起こすこともあるこわい病気。インフルエンザに効く薬というのもできていますが、症状が出てから、つまりインフルエンザだと診断がついてからこの薬を使っても病気のスピードがとても速い(インフルエンザの症状が出て24時間以内になってしまうことが多い)ので、薬を使っても間に合わないんですよね。そういうことを考えると、確かにインフルエンザの予防接種は確実に病気を予防できるものではないけれど、心配であればやっておいたほうがいいんじゃないかなと思います。
たとえていえば、インフルエンザから脳炎になるかどうかは、非常にまばらな地雷原を歩くようなもの。だからといって無闇にこわがることもないんです。ほとんどの人は何事もなく通り抜けられる(インフルエンザにかからなかったり、またはかかっても重い風邪という感じで済んでしまう)のですから。乳児期には脳炎など重症化することはまれで、乳児期後半から幼稚園ぐらいまでの間の子に重症化しやすい傾向があるようです。
●症状が“吐く”“下痢”のみならば
冬に流行る「おなかのかぜ」です
冬は嘔吐と下痢が主な症状の風邪、いわゆる「おなかの風邪」がとても流行ります。「これはおなかの風邪だね」と言うと、「でも、先生。熱もないし、鼻水もせきも出ていませんよ」と返すお母さんがいますが、そういう風邪もあるんです。正確には「ウイルス性胃腸炎」というのですが、熱や鼻水、せきなどの症状が出る場合もあるし、それらがまったく出ず嘔吐と下痢のみの場合もあります。
普通は吐くことから始まるので、たとえば夕ごはんをパクパク食べたその日の夜中に急にゲロゲロと5〜10回吐いたりします。夜中真っ暗闇の中で急に子どもが吐き出すとお母さんもびっくりするでしょうけれど、この季節で、しかも吐き気以外に特に症状がないようであれば「おなかのかぜ」である確率が高いので、あわてて救急にかけつける必要はありません(ただし、強い腹痛を伴う場合は別の病気の可能性があるので、救急へ連絡しましょう)。その代わり、翌朝通常の診療時間になったら、必ず受診するようにしてください。
吐き気があるときに、お母さんがしてあげられるケアは残念ながらほとんどありません。吐くことを繰り返すので、口の中が気持ち悪かったり、のどが渇いたりして飲み物を欲しがります。そういうときはひたすら水分を与えてください。実際、何かを飲ませるとそれが刺激になって、また吐いてしまうんですが、水分を欲しがっているのに与えないのはかわいそうですから、この場合は欲しがったらあげてください。この吐き気は6〜12時間でおさまることが多いので、水分補給さえしっかりしていれば大丈夫です。元気になって欲しがるまで、食事はムリにあげなくてOKです。
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